こんにちは!阿倍野区西田辺の歯医者、うえたに歯科クリニックです。
歯周病は進行すると、歯ぐきだけでなく歯を支える骨(歯槽骨)にも影響を及ぼします。歯周基本治療だけでは改善が不十分な場合、歯周外科治療が必要になることがあります。
今回は、「歯周外科治療の種類」と「治療後の再評価」について解説します。
歯周外科治療とは?
歯周外科治療は、歯ぐきの奥深くにある歯石を除去し、歯周組織の改善を図るための外科的処置です。主な治療法は以下の通りです。
1.フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)
歯ぐきを切開して歯根や歯槽骨を露出させ、奥深くに付着した歯石や感染組織を取り除く手術です。歯ぐきを元の位置に戻して縫合し、治癒を促します。
2.歯肉切除術
歯周ポケットが深くなりすぎて改善が見込めない場合、感染した歯ぐきの一部を切除し、歯周ポケットの深さを減少させる方法です。
3.歯周組織再生療法
歯周病によって失われた歯槽骨や歯周組織の再生を促す治療法です。主に以下の方法があります。
- エムドゲイン法:歯根に特殊なたんぱく質(エムドゲイン)を塗布し、歯周組織の再生を促します。
- GTR法(組織誘導再生法):特殊な膜(メンブレン)を用いて、歯ぐきが入り込むのを防ぎながら歯周組織を再生させます。
- 骨移植術:歯槽骨が大きく失われている場合、患者様自身の骨や人工骨を移植し、歯槽骨の回復を図ります。
4.歯槽骨整形術
歯周病によって形が不均一になった歯槽骨を滑らかに整え、歯垢(プラーク)が溜まりにくい環境を作る手術です。
5.根分岐部病変の治療
奥歯は歯の根が複数に分かれているため、根分岐部に歯周病が進行すると通常の治療では改善が難しくなります。この場合、根を分割する処置を行い、感染部分を除去します。
6.歯周形成外科治療
歯ぐきの形態を整えることで、歯の見た目や機能を改善する治療です。例えば、歯ぐきが下がって歯が長く見えてしまう場合、結合組織移植術を行って歯ぐきを回復させます。
再評価では何をする?
歯周外科治療が完了した後、どの程度改善したかを判断するために「再評価」を行います。
①歯周ポケットの深さの測定
外科治療前と比較し、歯周ポケットの深さがどの程度改善したかを測定します。
②歯ぐきの炎症や出血の有無をチェック
治療によって炎症が抑えられ、出血がなくなっているかを確認します。
③噛み合わせや機能回復の確認
咬合調整や歯周組織再生療法を行った場合、しっかり噛める状態になっているかを評価します。
➃次のステップを決定
再評価の結果、改善が十分であればメンテナンスに移行します。一方で改善が不十分な場合は、さらなる外科的処置や補綴治療(被せ物・インプラントなど)を行う場合があります。
まとめ
歯周外科治療は、重度の歯周病に必要な処置であり、症状に応じてフラップ手術や歯周組織再生療法などが行われます。治療後は再評価を行い、どの程度改善したかを確認し、今後の方針を決定します。歯周病の予防と進行を防ぐために、日々のセルフケアを徹底し、歯科医院での定期的なチェックを継続しましょう。